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2017/5 vol.75 毎日が楽しくなる情報誌・旬の味覚満載・ランチ&グルメ



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2017.05.10 …
well vol.75発刊しました!今回の特集は「初夏のランチ・グルメ特集」「はちのへブライダルガイド2017」「初夏のお弁当カタログ」です。
2017.02.10 …
well vol.74発刊しました!今回の特集は「歓送迎会特集」「八戸えんぶりガイド」「春の新生活 引越情報」です。
2016.11.10 …
well vol.73発刊しました!今回の特集は「忘新年会特集」「おせち特集」「はちのへ冬イベントガイド」「はちのへ温泉特集」です。
2016.07.08 …
well vol.72発刊しました!今回の特集は「はちのへ夏イベント2016」「マイホームを建てよう2016」です。


南部の昔っ子 久慈瑛子 作

山伏し山の宝水

昔々あったず。ある所にじ様とば様が居だったず。貧乏だけども二人は仲良く暮らしていたず。じ様の仕事は寺の葬式の手伝いや、墓の穴掘り、墓処の掃除等していだったのだず。

ば様はじ様が仕事から帰ってくると、ごちそうを作り晩酌の酒こを切らす事なく仕度して、じ様を喜ばせていだもんだず。

所で、ば様はこの頃心配ごとがあったず。ここ毎日雨降りが続いていて買い置きの酒こがだんだん少なくなっている事だず。酒こ買いに行くには川向こうの町さ舟に乗っていかねばならないし、こんなに雨降れば渡し舟が休みになるかも知れないのだ。したすけば様は「早く雨こ止んでけろ」って願っていだのだず。

さてもさても人の生き死には雨は関係なく、今日もじ様は寺さ葬式の手伝いに行ったず。ば様は買い置きの酒こを見だら何んと今晩の晩酌分しかながったず。でも良い塩梅に昼頃から雨こ止んだず。ば様は喜んで「明日は酒こ買える」と徳利の準備をしたずもな。

次の日は良い天気になったず。ば様は張り切って舟の渡し場へ行ったず。そしたらなんと『舟渡し中止』の札が出ていたず。ば様は舟渡しの親方に「舟こ出してけろ」と願ったずども「波が高くて危なくて舟は出せね」と断られだず。ば様は困ってしまったずもな。今まで一晩たりともじ様の晩酌の酒こ欠がした事がながったすけに、じ様に申し訳ない事したと思ったら、涙こ出て来たず。

隣り近所の家さ「酒こ貸してけろ」と行ったら「この贅沢者!」と云われるべし、と悩んでいる内にば様は山さ登る道を歩いていたず。そしたら山の中から水が流れる音がしたずもな。良く見だら小さい滝があったず。ば様はびっくりしたずもな。雨上がりというのにその滝水はたまげだきれいな水だったず。

ば様はのども乾いていたので滝水を手ですくって呑んだず。そしたらその水のうまいごと、うまいごと。そこでば様は「はっ」と思い立ったず。「そうだ、このうまい水を今晩のじ様に呑んでもらおう」と、そこで徳利に水を容れて籠に背負って帰って来たず。

さてその晩のごと、じ様の晩酌には酒こでなく山の澄んだ水を茶碗に注いだず。ば様は「舟渡しが休みで酒こ買いに行げながったすけに、山伏し山の滝水を汲んで来た、我慢してけろ」って云ったず。じ様は「良いもなも良いもなも」と、ごくごく呑ったず、そして叫んだず。「ば様ば様、こりゃ水でなく立派な酒っこだよ」。ば様もびっくりして徳利の匂いを嗅いだず。したきゃ何んと「プーン」と酒この匂いがしたず。何んと何んと、山の滝水こ、徳利の中でおいしいおいしい酒こに変わっていたのだず。

じ様とば様の一生懸命さに、山伏し山の神様や仏様が力こ貸してくれだ事だとば様は思ったず。

今でも滝のあった辺りは水が豊富に湧いて田畑を潤しているのだず。どっとはれ




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