早狩 今回のチーズのテーマは青カビタイプ、ブルーチーズです。「青カビ」と聞いて後ずさりする方もいらっしゃるかもしれませんが、ブルーチーズの青カビは食べられる青カビです。ワイン好きならばきっとお好きな方も多いはず。
その魅力は、独特の芳香、口どけの良さ、ミルクのコク、そしてカビのシャープな刺激の、複雑で絶妙なバランスにあります。
中でも人気を誇るのが”世界三大ブルーチーズ”と言われる、フランスのロックフォール、イギリスのスティルトン、イタリアのゴルゴンゾーラです。
ロックフォールは、羊のミルク100%で作られ、伝統的にフランス南西部ロックフォール村内の自然の洞窟で熟成されます。高貴に香り印象的な余韻を残した後にすっと消え行く口どけの良さが唯一無二の魅力です。
イギリスのスティルトンは牛乳製。濃い乳白色の外見通りの英国チーズらしいリッチなコクは、ポートワインやウイスキーにも負けません。
イタリア代表のゴルゴンゾーラも牛乳製。辛口のピッカンテとマイルドなドルチェの2タイプ。滑らかでクリーミー。そのままでも、料理やスイーツに使っても存在感を発揮します。蜂蜜をかけて食べるのもおなじみですね。
良質なブルーチーズは決して臭くはないんです。ただ他のチーズに比べちょっぴり刺激と塩味のアタックが強いので是非ワインと一緒に味わって欲しいですね。
高森さん、ブルーチーズに合うワインを教えてください。やっぱりブルーチーズには赤ワインですか?
高森 表面に青カビを繁殖させて熟成させるチーズですね。塩味が強く、青カビ独特の香りがありますから、甘口の白ワインを合わせると美味しいですよ。
世界三大チーズと『王道のペアリング』お伝えします。
ロックフォール × ソーテルヌ
ボルドーが誇る甘美な貴腐ワインの産地 ソーテルヌ。貴腐ワインはぶどうにボトリティス・シネレア菌と呼ばれる特殊なカビの一種が付着することで果汁の成分が凝縮される「貴腐」と呼ばれる現象が起こった黄金色をした極甘口の白ワインです。
▲昨年訪問したシャトー・ディケム。世界最高の極甘口白ワインである貴腐ワインの生産で知られる。
スティルトン × ヴィンテージポート
ポルトガル生まれのポートワインとマデイラワイン、スペイン生まれのシェリーと、世界三大酒精強化ワインと呼ばれています。ポートワインは、まだ発酵していて糖分が残っている状態のワインに、グレープ・スピリッツを加えて酵母の働きを止めます。酵母による糖分の分解が止まるので、独特の甘みとコクのあるワインに仕上がります。
ゴルゴンゾーラ × メヴィン・サント
ヴィン・サントはぶどうを麦わらのマットの上に並べ、水分が約70%減少するまで、最長6ヶ月間ほど陰干ししてから造るワイン。天日で乾燥させるので糖分が高まり、ぶどうはレーズン状になります。そのぶどうを圧搾し、オーク樽で醸造。発酵は非常にゆっくり進み、完了するまでに4年程掛かる場合もあります。
口中に残るチーズのコクとワインの余韻…素晴らしいペアリング……。格付け1級ワインではなくセカンドやサードワインでも十分美味しく召し上がれます。
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グラスワインの提供もありますので、つまみながらのペアリングも出来ますよ。夏を楽しみましょう!