世の中が何かと騒がしいですね。こういう時だからこそ、利休の茶の精神、「和・敬・清・寂」の言葉が浮かびました。すべては和から始まり… 和の心でお互いを認め合い、そして謙虚に相手を敬い、内面も清らかに、何事も沈着冷静、寂の状態に至る。今できることを冷静に考え心静かに穏やかに在りたいものですね。
さて、四季折々の日本には、季節ごとに様々な風習があります。また、前段で述べました「相手を敬う」ということを季節毎の挨拶で表現しています。そこで今回は、夏の挨拶について、お伝えしたいと思います。夏の挨拶は、お品物をお贈りするお中元と相手の健康を気遣う暑中見舞い葉書があります。
■ お中元
古くは中国から伝わった道教が由来とされ、1月、7月、10月の15日をそれぞれ「上元」「中元」「下元」と呼び、天地万物を祭る年中行事で、日本に伝わるとお盆と結びついて先祖への供物を親戚に配ったのが「中元」の始まりと言われています。今では、一年の半分が過ぎたころに、お世話になった方への感謝の気持ちを伝える贈り物という意味があります。
熨斗(のし)の表書き
参考までに一覧にしましたが、地域の風習によって違います。ここ県南地方は、旧盆が中心ですね。その地域に合わせて贈るのがよいでしょう。
贈り方
本来は、感謝の気持ちを直接伺いお渡しする習わしでしたが、最近は注文先から直送が多くなっています。
訪問する場合は、先方に事前に連絡してから伺い、お品物をお渡しする時は、風呂敷や紙袋から出してお渡ししましょう。
戴いたときは
お中元が届いたら、速やかにお礼状をお出ししましょう。書くのが苦手という方も、せめて電話で届いた旨をご連絡してくださいね。贈られた方は、反応がないと届いたかどうか心配になりますし、「品物が気に入らなかったかな」と不安になってしまいますので、双方敬いの気持ちでコミュニケーションを取りましょう。
■ ハガキ
遠方の方や日頃お会いできない方にお出しする季節の挨拶状です。主に、相手の無事を祈ったり、ご機嫌伺い、自身の近況報告などです。お中元と同様、時期によって書き出しが変わります。
以上、夏の風物詩とも言える夏の挨拶の習慣ですが、最近はハガキではなくSNSで発信する場合もあります。目上、お世話になった方、友人、後輩とお付き合いの状況でそれぞれ使い分けて、挨拶するとよろしいでしょう。今回もお読みくださりありがとうございました。