昔々あったず。ある所に、米子と糠子という姉妹が住んでいたずもな。姉の米子は、からやぎで何んも働かねで一日中家でごろごろしていだもんだず。妹の糠子は、働き者で朝から晩まで飯炊き、洗濯、畑仕事と、たまげだ働ぐ娘だったず。
ある日、山向こうのばあさんの家で「手伝いに来てけろ」と、いうので米子と糠子は手伝いに行ったず。したども米子は、ばあさんの家さ来ても、何んも働がねで遊んでばりいだったず。一方糠子は、一生懸命ばあさんの手伝いをしたず。山仕事、畑仕事、水仕事と、せっせせっせと働いたず。
何日か過ぎて、米子と糠子が家さ帰るごとになったず。ばあさんは「ありがと。二人に助けられだ」と云って「お礼に二人さ土産っこけるべ」と、二つの柳梱りの籠持ってきたず。そして「こごに重でえ籠と、軽い籠がある。二人で好きだ方を選んで持って行げ」ったず。
したきゃ、今までごろごろしていだ米子が、糠子に先まって、「ば様、我、重でえ籠ばもらって行く」と云ったず。妹の糠子の方は「おらは軽い方をもらって行ぐ」と云ったず。
こうして。米子と糠子は土産の籠を背負って、ばあさんの家を出だずもな。途中、米子は山越えするのに籠が重だくて、重だくて、いっぺえ汗かいで苦労したず。一方糠子は、軽い籠だったすけに、山越えも汗もかかず、涼しい顔こで楽々家さ戻って来たず。
家さ着ぐと米子は「こただに重がったものきっと良いものが、いっぱい入っているごった」と、早速、籠のふたを開げたず。
したきゃなんと、余り良ぐねえ安物の着物と帯と下駄、つなぎ一文銭がいっぺえ入っていだったず。
糠子もいそいそと籠のふたを開げだず。そしたら糠子の籠には綿みたいに、ふわふわした上等の絹の着物と帯と、きれいな桐の下駄と、数は少なかったずども、大判、小判が入っていだったず。
したすけ、米子のように働がねでいで、欲ばりすると、ろくだ事ねえもんだず。どっとはれ